甘ったるい彼等【短編集】(雪男) (ページ1)

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【💙】お揃いページ1

翔太 side

4月といえどまだひどく冷え込む朝

『うぅ、さみ…』とひとりごちながらキッチンで飲み物を準備していると、背中にペタッとぬくもりが張り付いた。

気にせず動き続ければ、背中の重みも動じず俺と同じ動きをするからほんの少しうざったい。

『まじ動きにくい』と少し怒って振り返ると
「んへへ」と嬉しそうに笑うAの姿。

『うざいなぁ』と身を捩ると「いーじゃん別に、翔太も暖かいでしょ」とまた背後に回り込み、両手を俺のズボンのポッケに突っ込んで「はぁ落ち着く」と甘えた声で言われてしまうので、もう何も言い返せなくなった。

『くっつき虫くっつきA』

「なぁんですかぁ、あ、お砂糖多めで！」

『分かってるよ、お湯淹れるから腕気ぃ付けろよ』

「はぁい」

冷え性なAは冬になると隙さえあれば俺のポケットに手を突っ込んで暖をとる。
人前ではしないが、家やプライベートな空間であればいつでもだ

毎度毎度『動きにくい、うざい』と口では言っているが、ほんとはたまらなく可愛いと思ってるし、普段あまりカップルのような絡みをしたがらないAが積極的に来てくれるのはこの寒い時期限定なので、ちゃっかり毎日ポッケ付きの洋服を選んでる。

本人には絶対に言ってやらないけど。

今までの俺なら自分の気分じゃないときにこうしてくっつかれるだけで不機嫌になっていただろうし、起きてきた彼女にココアを淹れてやる優しさなんか出せなかったと思う。

でもAとは全部が今までと違ってて
ただ喜ぶ顔が見たいっつーか、、
いつかの雑誌で話した、こんな面倒な俺の性格を変えてしまうような出会いってのがこれなのだと確かにそう感じてる。

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Aを待つ間にクローゼットの奥にしまっていたそれをポケットに忍ばせ、どんな顔を見せてくれるのかと胸を躍らせる。

柄じゃないし照れるからキュンキュンするシチュエーションで！とかは無理だけど、俺なりの精一杯を貰ってほしいなって思うよ。

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