甘ったるい彼等【短編集】(雪男) (ページ2)

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You side

昼間に『20時』と簡素なLINEが届いて「了解」と返事をした。

帰宅時間を伝えてくれる日は家においでというお誘いなので
定時に上がったあと自宅でお風呂に入り、ちょうど良い頃合いを目指して彼の家に向かう。

インターホンを鳴らすと『おつかれ、お前合鍵使えよ』と文句を垂れつつ出迎えてくれる翔太

「開けてすぐ会えるのが嬉しいんだもん」と本音半分の言い訳をしつつ、先を歩く彼のポッケにいつも通り手を突っ込むと、指先に何かが当たった。

「あれ、なんか入ってる」

『………それお前んだよ』

「え？」

『出してみ』と言うので引っ張り出すと、それは光沢のある横長な木箱で

「オルゴール？え、なに？」
とコートやら鞄をダイニングの椅子掛けてソファーに座れば

照れてるのか不機嫌なのか目を合わせてくれない翔太も横に座って『開けてみ』と呟く。

どんな音が鳴るのかとわくわくしながらゆっくり蓋を開くと
中にはシルバーのリングが２つ出てきた。

「え…指輪？」
『ん、手出せよ』

戸惑う私の左手をとると、迷いなく薬指に嵌めてくれる翔太
もうひとつも雑に自分の左薬指に着けると

『ヤだった？』と不安げに私を見つめる

一連の動作にトキメキすぎてリアクションをとれていなかったけど、その不安そうな翔太を見てハッと我に返る。

「…嬉しすぎてカッコ良すぎて固まっちゃった
　ごめん、めちゃくちゃ嬉しいです
　今が夜じゃなくてここが大きな広場なら踊り狂って喜んでる」

『ふはっ躍り狂うはやばい』

『やりそうだなぁA』と可笑しそうに笑う翔太の耳は真っ赤で、頑張ってこうしてサプライズしてくれたことも、苦手なお揃いを贈ってくれたことも、全てが嬉しくてたまらなかった。

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