甘ったるい彼等【短編集】(雪男) (ページ13)

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大介 side

『明日何時ぃ』
〔14時です〕

ならちょっとゆっくりできるかーと大きなあくびをして窓の外に視線を移すと、見慣れたパーカーに見慣れた歩き方

『ちょっと買い物して帰りたいからここで降りるわ』と駐車場で降ろしてもらい、マスクとメガネを着け、帽子も深く被り直して店内に入った。

髪色を暗くしたところだから前ほどバレるってことはないけど
隠す習慣が身に付いてしまっているし、何かあって彼女と離れなければいけないなんてことになったら、それこそ俺は生きる意味を無くしてしまうから、念には念を入れて行動しないとね。

　
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スーパーを出ると、完全にAのペースに乗せられる俺
俺が驚かしたかったのになぁ…なんてちょっぴり悔しい

『小悪魔ちゃんめ』と呟くと「ん？」と小首をかしげて振り返るから、主導権なんて持たれてる方が幸せかもなんて思ってしまう俺は、とことん単純でとことん彼女に惚れているのだと思う。

「あっ！白ぶどう見っけ」

『おぁーそれ美味いよな』

「ねぇ飲みたい、じゃんけんしよ！」

家事やちょっとした支払いをじゃんけんで賭けるのが最近の俺らのブームで、自販機のぶどうジュースを賭けた試合を挑みにきたA

「じゃんけんじゃんけん」と跳ねているけど、あいにく俺の片手は荷物、反対は貴女の手で埋まってるんだよなぁ

「ねぇほら、ジュースじゃんけんしよ！」

『んー、今日は俺が払う』

「なんで！大介、連勝してんだから挑ませてよー」

『手ぇ離したくないの。ほら俺のスマホでピピってして』

素直にそう言えば、ポカンとした後にポッと赤くなったA

おずおずと俺の首に吊られてるスマホを操作してジュースを買う

仕掛けるのは得意なくせに、受けるのはいつまでたっても照れてしまうところとか、俺らってほんと似た者同士だよね(笑)

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