甘ったるい彼等【短編集】(雪男) (ページ14)

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大介 side

ジュースを飲みつつ、またのんびり歩く

『俺さぁ、これ夢だったの』

「どれ？」

『外で手繋いで歩くの。王道デートじゃん？』

「そっか何気に初めてだね、こんなことするの」

『だから俺いま、ちょーー楽しくて、ちょーー嬉しい！』

「私もだよ」と笑うAがあまりに可愛いすぎて
思わず抱き締めてちゅーしてしまう

「…ねぇ、」
『いいの、どーせみんな月しか見てないし』

今日は何年に一度とかの、赤くてでっかい月が出る日らしく
公園までの道中で見かけた人も上を向いてカメラを構えていた。
たぶん俺らが通ったことすら気付いてないと思う

『月に見せつけてやる～』とおどけてもう一度キスを贈れば
今度は突き放さず、ちゃんと受け止めてくれるからたまんない

白昼堂々、手を繋いで笑い合いたいと考えないことはないけど
こうして密やかに愛を深めるのも特別感があって悪くないと
最近はそう思えるようになってきた

『あぁ、でももう限界っ』

「えぇっなに？！」

『走れーー！』

のんびりまったり散歩デートを楽しもうと思ったけど、月に照らされたAが可愛すぎて、思う存分いちゃいちゃしたくなっちゃった

「運動不足のOL、コロす気？！」って家着いた瞬間に怒られちゃったけど、ごめんねを込めて尽くすからいっぱい愛でさせて？

Fin.