甘ったるい彼等【短編集】(雪男) (ページ16)

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you side

事の発端は、先週の大阪への帰省だった。

高校時代に仲の良かったメンツで集まっていると連絡をもらい
飲み会へ顔を出しに行った。

〔お～きた！俺らのマドンナぁ！〕
「えぇなに、めっちゃ出来上がってるやん」
〔お前おっそいねん、こっちは2時間も前から呑んでんの！〕

「ごめんごめん」と適当にあしらいつつ、手を挙げてビールを注文する。

乾杯！とグラスを合わせると、会わなかった数年を埋めるように皆それぞれに話に花を咲かせ、そのうち話題は恋愛事情に突入した。

〔Aの彼氏、モテるし心配やろ？〕
〔ほんまかっこいいよな〕
〔束縛とかしてない？振られてまうで〕
〔男はほどよく野放しくらいが丁度ええからなぁ〕
〔距離感っていうか、隙間が必要やねん〕

辰哉が芸能人だということは本当に仲の良い２人しか知らないのだが、ことあるごとにその２人がカッコいいだのモテるだの言うから、私はいつも集中砲火を受ける

さらに同棲を始めるということを話すと、矢継ぎ早に色んな意見が降ってきた。

そして、この話は揉みに揉まれて
【浮気されても見逃すが吉、知らなきゃ悲しくない】という
極論に落ち着いてしまったのだ。

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「だから、あの、、
　辰哉がどうとかじゃなくて寛容な女になろうかなぁって…」

『ほぉ』

事の全てを話し終えると、私を見つめていた辰哉がふいっと横を向いて黙りこくる。

怒らせた？いや、悲しんでる？

「ごめん、辰哉、変なことゆーた」

「ごめんね？」と顔を覗き込むと考え込んでいるような難しい顔

重たい沈黙が耐えられなくて目の前の辰哉に思いきり抱きついた

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