甘ったるい彼等【短編集】(雪男) (ページ17)

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辰哉 side

まったく…
なんつー入れ知恵してくれちゃってんのお友達さんよぉ

俺にむぎゅっと抱きつくこの子は一体どんな顔して「浮気するなら…」なんて言葉言ったの。

あぁゲームなんてせずにちゃんと見ときたかったなぁ
どうせ不安で仕方ない顔してたんでしょ
俺こんなに想ってんのにさぁ、そんな極論だしちゃって

なんて伝えたらその論、ぶち壊せるかな。

「なぁ、辰哉ごめん、ほんまに、、」

俺がぐるぐる考えてると、怒ったと思ったのか肩口に顔を埋めて
ぐすぐす言い出すA

『なぁんで泣くの』
「だって、たつ、何も言わへん…」

『だいじょうぶ、怒ってないよ、ちょっとびっくりしただけ

　そりゃ俺、過去の栄光振りかざしてモテましたエピソード話す
　けどさ、それ経てめちゃくちゃ一途なの知ってるでしょ？

　こんなに可愛いと思うのも、ずっと一緒に居たいのも
　「浮気するなら…」なんて強がり言っちゃって悲しんでるのを
　どうしたら幸せいっぱい「うちのはそんなことしない」って
　言ってくれるようになるかなって考えるのも

　全部Aだけ。

　俺は俺なりに真っ直ぐにAのこと想ってるよ？

　これからはずっと一緒なんだから、不安だったり悲しかったり
　俺に関係ないことでも全部なんでも話して
　俺の容量はAとの半分こで埋まっちゃってるから、他所
　の女の入る隙なんてこれっぽっちもないの。
　てかそんな隙いらない。』

『だから浮気なんて悲しいこと言わないでよ、ね？』と背中を撫でると、やっと顔を上げたA

前髪を整えてあげるとうるうるとした瞳に捉えられ
どちらともなく唇を寄せ合った。

.
.

『次そんなこと言ったら、俺Aの名前腕に彫るからね』

「うぇ、、いつからそんなメンヘラなったん」

『メンヘラ上等！浮気するくらいならしんでやる』

「もーわかったって…うちが悪かったです
　気持ち悪いからいつもの辰哉に戻ってください」
　

『分かればええねん分かればー』と言えば「エセ関西弁はもっときしょい」と言われ、なんだとぉ？！とくすぐりあいが始まる
　

ね、ほらこんな幸せいっぱいなところに隙なんて必要ないでしょ

Fin.