甘ったるい彼等【短編集】(雪男) (ページ19)

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蓮 side

「私たちさ、別々に暮らしてみない？」

彼女はいつも唐突で突拍子がなくて
良くも悪くも驚かされることばかり
自分には無い考え方と、高い行動力に惚れているんだけど…

今回はさすがに面食らう。

『なに…？なんで？』

一生懸命、平然を装って発した声は掠れてしまった

「最近、生活リズム全く合ってないでしょ？
　蓮のこと休ませてあげれてないように思うの
　だから別々に家持った方が休まるかなって

　あ、でも掃除とか洗濯とかはしに来るし
　遠くには越さないから、あんまり変わんないと思うんだけどさ
　

　蓮はどう思う？」

どう思うって…

『いやだ』
「そっか…」

「うーん、」と考え出すAを見て思う
ほんとにそれが理由？
俺に嫌気がさして、他の奴と遊びたいから俺との生活終わらせようとしてるとかじゃない？

ダイニングテーブルの向こう側に座ってマグカップとにらめっこしているAを見つめていると、喉の奥が熱くなってきた

あぁまずい

『俺に飽きちゃった？俺はもう…Aの一番じゃない？』

こんなの格好悪いって分かってる
でも突拍子の無い彼女が何を考えているのか、俺にも分かるよう
言葉にして伝えてくれないとおかしくなりそうだった

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