甘ったるい彼等【短編集】(雪男) (ページ25)

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ラウール side

『お土産あるよ！』「わぁほんと？嬉しいなぁ」と会話しながら
リビングへ向かう最中、ふと彼女の足元を見て固まる。

『Aちゃん、何その足！』
「え？」

なになに？と自分の足を横や前に上げて確認するAちゃん

「なんか付いてる？？」
『違うよ！なぁにってその靴下！』

「靴下？あぁ、夏用のね。涼しいんだよ」

オフィスレディのAちゃんには制服があって、足元のみ自由が許されているそうで

冬は分厚めの、夏は薄目の黒のストッキングを履いていたはずなのに、今は膝下の靴下を履いてる。それもスッケスケのやつ。

膝上丈のスカートから可愛い膝が見えてるのも如何わしいし
その下の真っ直ぐな綺麗な脚がスケスケの向こうに見えてんのも
ちょっとえっちで腹立たしい。

『やだそれ』
「えぇ？」

部屋着に着替えようと寝室に向かうAちゃんを、もう一度ハグで捕まえて抗議する。

「なんでよぉ、涼しいのこれ」

『冷感のストッキング買ってあげるから』

「長いと暑いんだよー」

『だめ、やめて』

嫉妬とかヤキモチとか、恋愛経験値がほんとに低い俺からすると
よく分かんない感情だけど、今はハッキリ分かる。

『他の奴らに俺とおんなじ気持ちでAちゃん見られるの
　めっっっっっちゃ嫌』

そう伝えるとまたまた驚いた顔をするAちゃん

『俺だけに見せてよ…』

恥ずかしくて小っちゃくなっちゃったけど頑張って伝えたら

「可愛いねラウ、大好き」と蕩けた顔で抱きつき返されるから
『返事になってない！』とまた抗議する。

それを聞くとへらっと笑い、腕の中からスルリと抜け出し制服を脱いでいくAちゃん

最後に靴下を脱ぐと、それをベッドサイドのゴミ箱へ捨ててしまう。

『…いいの？』

そこまでしてくれるとちょっと気が引けてしまうけど
「いいの、ラウの嫌なことはしない」と即答され簡単に安堵する俺はいつまで経っても彼女の手の上なのだろう。

あーでもな…とゴミ箱からそれを拾い上げると
「ラウの前だけならいい？」と微笑むAちゃん

魂胆見透かされてるなんて恥ずかしい！！！って思ったけど、
こんなチャンスを逃すわけにはいかないから素直に頷くと
「じゃあ洗濯機入れといてね」と部屋を出て行くので、『はぁい！』と元気良く返事してAちゃんの後を追った。

Fin.