甘ったるい彼等【短編集】(雪男) (ページ8)

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you side

『夜のピクニックもなかなかええなぁ、！』

結局、日が暮れるまで寝入ってしまった私たちは夜ごはんとしてサンドイッチを作り、『暗いしこれ出そ！』と康二くんがウキウキでひっぱり出してきたキャンプ用のランプに照らされながら楽しく夜を過ごした。

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『寝られへん』
「知らない」

『寝られへんなぁ』
「知らないよぉ」

『ねーむーくーなーいー』
「んもー、私は眠たい」
『いけず！』

康二くんよりだいぶ早起きした私は、食べ終わってお風呂に入ると眠くなってきたのに対して、寝すぎたせいで眠たくないと駄々をこねる彼

ゲームをしに行くわけでもなく、ベッドでうだうだとくだを巻くので、昼間の真似をして布団で彼をさらう

「こーちゃん、いっしょに寝よ？」
『…う』
「ね？」

とびきり甘い声で誘ってお腹をポンポン叩いてあげると
次第にとろんとしてくる康二くんの目

「また明日ね、おやすみ」

と、いつもの言葉を掛けてあげると満足そうに笑って

『また明日ぁおやすみぃ』

と、私より早く寝入っていった

この"また明日"の合言葉を始めたのは康二くんで
『俺これ無いと、安眠できんくなってもーた』と照れたように
笑うけど、私もこれをしない夜はなんだか不安で眠りが浅い

この言葉が二人の深い信頼を表しているような気がするから
おじいちゃんおばあちゃんになっても言い合っていたいと思うし

どちらかが先に絶つとき"また来世"って言えたらなんて
メルヘンなことを考えちゃったりして
康二くんに言ったら何て返してくれるだろう
また明日にでも聞いてみようと隣の寝息につられるように夢に落ちた

Fin.