甘ったるい彼等【短編集】(雪男) (ページ9)

今日:64 hit、昨日:308 hit、合計:225,309 hit

【❤】スーパーなダーリンページ9

涼太 side

「ただいまぁ」
『おかえりA』

玄関が雑に開かれる音がして迎えに行くと、パンプスに手こずっている愛しい彼女の姿

バッグとコートを預かると確かに香る居酒屋特有の油臭。

『何杯飲んだの？』
「んーとね、、」
　
指折り数えてるけど、片手では収まらない感じ？
それに、酔いだけじゃない何だか荒立った雰囲気を纏ってる。

『強いの知ってるけど、飲みすぎじゃない？』

「ん、ごめん、」

『あと…なんか嫌なことあった？』

「んーん、涼太に会いたかっただけ」

小学生の頃からの幼馴染みの結婚式に参加していたA
式中も、二次会中も細かく連絡をくれていたし
彼女の芯の通った強い性格に惹かれたから、他所の男や前の男に
なびくはずがないと分かっているので、心配はしてなかったけど

こういう時、切実に免許があればと思うね
こんな無防備な女の子をタクシーで帰らすなんて…

コアラのように抱きついて離れないAを洗面所に促すと
素直に笑顔で向かっていったので、機嫌は悪くないかと思い直す

やっぱ合間縫って免許取りに行こうかなと考えながらクローゼットにコートを掛けていると「涼太ぁバスタオル取ってぇ」と声がして、慌てて洗面所へ向かった。

.