甘ったるい彼等【短編集】(雪男) (ページ10)

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you side

幼馴染みで一番の親友の
人生で一番の晴れ舞台

気が強くてよく人とぶつかる私とは真逆な、柔和で誰とでも仲良くなれる可憐な子、[何でそこ仲良いの？]と散々尋ねられてきた私たちだけど、互いに無いところを補い合って生きてきた

そんな私の片割れが選んだパートナーは、彼女を一番に大切にしてくれるとても優しい人で、私は式では親族以上に泣いて、二次会ではとても気持ちよく酔っ払った

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〔お姉さん可愛いねー！LINE交換しよーよ！〕
〔あぁやめときな、その子スパダリついてるから〕
〔えぇー俺も結構良い男よ？？乗り換えてみない？〕

楽しく幸せの余韻に浸っていたのに、タクシーを待つ間くだらない男に絡まれ、酔いが少しずつ醒めていく

〔ねぇお姉さん、お名前はー？？？〕
〔もー、やめてくださいって〕
〔迎えにも来てくれない、そんなダサイ奴やめときなよー〕

友達が追い払おうと奮闘しているが、めげないそれにそろそろ腹が立ってきたし、何より涼太をバカにされたことで堪忍袋の緒が切れた

「…るっさいなぁ」

〔へ？〕

「しつこいんだよ、さっきから
　大体うちの彼氏と張り合おうとか無理ありすぎ
　どこで勝負しようっての？ルックス？中身？
　比べるまでもなさそうだけどさぁ
　声掛ける相手間違ってるし、貶したいなら鏡見てやんなよ」

言い終わるが早いか、ナンパ師は立ち去り
周りは目を見開いて圧倒されている

やっちゃった…と思ったけど、場を取り繕うより何より
早く涼太に会いたくてたまらなかった

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